病気を防ぐ 正しい栄養素の知識
バランスを欠いた健康ブームの落とし穴 |
ここ数年来、健康ブーム、健康食品ブームが続いています。
テレビで「○○が健康によい」と報じられると、たちまち消費者がその食材に殺到するという社会現象が、何度も起こっています。
食と健康の関係に関心が高まることは喜ばしいことですが、バランス感覚を欠いた部分的な知識であるところが気になります。
これは「栄養」のとり過ぎ、つまり糖質、タンパク質、脂肪を多く含むエネルギーになる栄養素を過剰摂取していることを物語っています。一方ではカルシウム、鉄、亜鉛などのミネラルが不足傾向にあり、ビタミンの宝庫である野菜不足も心配されます。
また厚生労働省の調査に戻りますが、20代の女性では逆にやせ過ぎの人が23.4%と4人に1人もいます。太っていないのにダイエットをする昨今の風潮を、数字で裏付ける結果となっているわけですが、こうなるとビタミン・ミネラル不足どころではなくなります。食品があふれる中での、タンパク質不足による栄養失調という笑えない事態を生んでいます。
食や健康に関する情報は巷にあふれていますが、バランスの取れた正しい栄養に関しての指導が十分ではないことの証しといえるかもしれません。その意味で、「おとなの食育」が超高齢化社会を迎える日本にとってたいへん重要です。
栄養と栄養素ヒトという生物は生命維持に必要な有機物を自分自身で作れないため、植物が作り出した有機物や、それを食べている動物の肉を食べることによって生きています。このように必要な物質を外部から取り入れてさまざまな活動に役立て、不要なもの排泄しながら生命を維持していく生理的現象を「栄養」といいます。ふだん私たちが使っている栄養という言葉は、厳密には「栄養素」のことです。栄養素とは、外部から取り入れた成分のうち、成長や活動、健康の維持などの生理的機能を営むための物質のことをいいます。たとえば、脂質(炭水化物)、脂肪、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどが栄養素です。 |
三大栄養素と五大栄養素 |
生命活動を維持するために必要な栄養素はたくさんわかってきましたが、大きく分けると次の5つになります。
・たんぱく質
・糖質(炭水化物、デンプン)
・脂質(脂肪)
・ビタミン
・ミネラル(無機質)
これを五大栄養素と呼んでいます。これらの栄養素が不足したり、過剰になったりすると、私たちの体は変調をきたし、病気の原因となります。
五大栄養素のうち、たんぱく質、糖質、脂質はエネルギー源となりますから、特に三大栄養素と呼ばれています。別名「三大熱量素」ともいい、毎日の食事の中で量的には最もウエイトの大きい栄養素です。
なお、三大栄養素の一つであるたんぱく質は、体の構成成分として重要な成分でもあります。
五大栄養素のうち、残りのビタミンとミネラルは身体の働きに必要な成分で、体の調子を整える機能もあります。ビタミンとミネラルは必要摂取量が少ないので微量栄養素とも呼ばれますが、生命維持には不可欠の働きを持っています。
食の三つの機能とは |
食品には三つの機能があるといわれます。かつて、栄養学では栄養機能と感覚機能が主に論じられてきました。しかし近年、生体調節機能というものが注目されてきて、次のように三つの機能として分類されるようになりました。
@一次機能 「栄養機能」…健康維持のための栄養素の供給
A二次機能 「感覚機能」…味、香、色などの嗜好性
B三次機能 「生体調節機能」…免疫系や内分泌系などの働きを調節
二次機能には上記のほかに、社会的・文化的な要素も加えることができるでしょう。
赤ワインでブームに火がついたポリフェノール類は、三次機能(生態調節機能)に分類されます。